政治体制
▼タイの政治体制
タイの政治体制は国王を元首とする立憲君主制で、現在の国家元首はプミポン・アドゥンヤデート国王(ラーマ9世王)です。議員制内閣を採用し、議会は下院と上院に分かれます。それぞれの定数は下院500名(小選挙区 375名,比例区 125名)、上院150名(公選 77名,任命 73名)となっています。首相はインラック・シナワット、外相はスラポン・トーウィチャックチャイグンが務めています。憲法において、信仰の自由、言論の自由、出版の自由、集会の自由、結社の自由、政党結成、通信の自由を保障していますが、度々軍事クーデターが起こり、軍事政権樹立とともに憲法が停止されてきたという歴史があります。そういった背景もあり、軍政と民政の間を行ったり来たりといった体制となっています。
▼有力政党と支持率
古来より、タイの政治政党とはいわば利益を共有する「クラブ」のようなもので、その数は無数にありました。政治的な主義主張や政策の一致で組まれる政党が生まれたのはごく最近です。2006年までタクシン首相が率いていたタイ愛国党が一大勢力を築いていたものの、2007年の解党判決により再び政党数が増加、その後鎮静化し、タイ貢献党(プアタイ党)と民主党による2大政党制の傾向が強まったのが現在です。下院の議席数ではこの2大政党で全体の8割を占めます。支持率ですが、2013年9月の世論調査ではプアタイ党(与党)44%、民主党(野党)23%です。2011年から議会内第一党となったインラック政権は、洪水被害などを乗り越えつつ、安定的に運営されていましたが、反政府デモが頻発し、混乱は長引く様相を呈しています。
▼政治と国民
タイでは2006年以降、軍部による政権獲得が起きるなど混乱に見舞われていました。その発端となったのは、タクシン首相を支持する派閥と反タクシン派の対立です。大規模な集会の開催ののち、野党が選挙をボイコットする事態に発展。当然その選挙は現政権が制したものの、違憲無効とされ、選挙のやり直しが叫ばれる中、軍部によるクーデターが起き、タクシン政権が陥落しました。その約1年後、下院議員選挙が行われ、元タクシン首相が率いていた政党の流れを汲む国民の力党が第一党を獲得。サマック首相が選出され新政権が発足されるものの、退陣を求めるデモがおきます。その後も混乱は続き、国民の力党は解体、変わって民主党のアピシットが首相になりました。その後、再び親タクシン派によるデモなどを経て、2011年にアピシット首相は下院を解散、総選挙の結果、現インラック・シナワットが首相の座に座ることになったのです。