目次
service_robot_thai_market
タイのサービスロボット市場が成長、ニューノーマル対応へ
タイの政策的な産業の一つとして投資奨励の大きな恩典対象ともなっているロボットおよびオートメーションだが、今回のコロナ流行が後押しとなり、産業ロボットだけでなく、サービスロボット分野においても、医療現場や接客・対面関連の業務へ導入する流れが加速してきた。元々、ロボットおよびオートメーションのBOI申請額ベースで、2019年から三年間で5000億バーツ投資が期待されているが、多くは、産業用ロボットであり、サービスロボットにおいては、どのような状況になるか詳しく観察しよう。
タイのベンチャーや大学がどんどん医療関係ロボットを投入し、実証実験を開始
タイのサービスロボット市場を開拓してきたベンチャー・ロボットメーカーのCTアジア・ロボティックス社の社長によると、自社が作ったロボット『ディンソー』の市場が20%成長し、医療機関において、体温測定や食事・薬の配達、心拍測定などに利用された。初代のディンソー・ロボットが2008年に公開され、レストランの食事配達などに利用してきたが、その後、医療関係においては、高齢者の世話をする第二世代ディンソーがリリースされ、そして、今回で第四世代となった。この第四世代で、医療現場に限らず、大手喫茶店のAmazonカフェで実証実験が始まり、販売サービスや注文の受け付けなどに利用した。また、小型ロボットの価格も85000バーツから65000バーツに減少し、大型ロボットについても、100万バーツから65万バーツになったため、今後、いろんな現場への導入を加速すると期待を寄せている。
医療ロボット分野において、前から注目を集めたスタートアップがある。HAPYBOTは、バンコク病院を経営しているBDMSグループ傘下のN Health社と提携し、去年の6月から病院内でのデリバリーロボットをリリースした。バンコク病院内での実証実験では、二週間、5つの部門を行き来し、薬を配達して、精度が100%で事故がゼロだったという。また、ロボットを人間代わりに案内係としても使っていた。初期設定の後、自分でエリアやルートを学習し、障害物を避けたり、代理の経路を選択したりして、タスクを完了した後は、チャージステーションに勝手に戻ることもできる。今年のコロナ流行において、HAPYBOTは、いろんな病院に実証実験や導入をされ、医療従事者向けのPPE不足が懸念されていた中、感染者の部屋へ出入りして食事や薬の配達を行い、活躍していた。
ロボット企業よりも、実は、一番活躍していたのは、大学かもしれない。多くの大学が自作のロボットをいくつかの病院に提供し、実験を重ねながらも、医療従事者をサポートしていた。
- ロボット教育と研究の名門とされているキングモンクット工科大トンブリー校(KMUTT)のInstitute of Field Robotics (FIBO)が『モットボリラック』プロジェクトの下に、9つの病院にロボットを提供した。ロボットは3タイプあり、1)CARVER / MUM IIは、感染者の部屋へ出入りし、食事や薬などを運搬して、空気清浄および殺菌機能もついている、2)SOFAは、医者のアシスタントとして目的地への遠隔操作ができ、病院のデータベースと連携して検査結果や治療結果をディスプレイに表示でき、リアルタイムの質疑応答もできる、3)Service Robot は、遠隔操作や運搬ができ、患者がロボットに声をかけて医者や看護師とビデオコールができる。24つの企業および民間団体、そして、5人の個人から寄付を得て三週間をかけて開発した。
- キングモンクット工科大ノースバンコク校(KMUTNB)、PTT傘下の大学VISTEC、そして、PTTグローバルケミカル社が協力し、IRAPs SHaRE-aGIVeRロボットを開発して、2つの病院に引き渡した。ロボットそのものは、自動的にあらゆる方向に移動でき、LIDARおよび超音波センサーがついていて、2次元および3次元の地図を作成でき、障害物を回避できる。薬や食事の運搬はもちろん、医者や看護師と通話ができるテレコンファレンスや、ストレスを緩和させるための音楽やビデオの再生もできる。パソコン、スマホやタブレットから操作ができる。
- 地方大学であるマハサラカーム大学も簡単ながら、実用化できる『ノンクラティップ』ロボットの開発をした。操作者は、ロボットを通じて500メートルほど先まで見られ、食事や薬はもちろん、小型カートを捕まえられる手取りがあり、衣服や日常品、あるいは、消毒のUVライトを持ち運びができる。
5Gの導入を控え、キャリア各社が競争。AIS社がデパートなどと提携し、接客用のロボットを投入5Gの帯域入札が今年の2月に終わり、700MHz、2600MHz、そして、26GHzの三つの帯域から48ライセンスが入札され、合計1000億バーツ以上がタイ政府の収入となった。5Gを落札したキャリア各社が、アプリケーションを模索している中、ニューノーマル対策のサービスロボットが注目されている分野の一つである。
最大キャリアであるAIS社が最も積極的である。AIS ROBOTIC LABで、様々なハードウェアの上に、ロボット向けのアプリケーションを開発して、医療現場、そして、デパートに提供していた。自作ロボットROC23台を22病院に提供した後、タイの有名なデパートであるサイアムパラゴンを経営しているモールグループや、映画館チェーンのSFそして、同じ映画館チェーンのMAJOR社、大手デパートのセントラルワールドやThailand Mobile Expo 2020の現場でロボットのデモンストレーションを行い、温度測定、手洗いアルコールの提供、お客さんの案内などをしていた。ハードウェアについては、ソフトバンクのペッパーや、ボストン・ダイナミック社のロボット犬もAIS社が導入し、活躍していた。
それに対して、競合であるTRUE社も同じ4種類のロボットを投入すると発表した。案内係やコミュニケーション用のロボット、配達ロボット、パトロールロボット、そして、殺菌ロボットがあ利、どれも5Gの活用を強調していた。
シンプルだが、よく使えるUV殺菌ロボットも盛んにタイ大手デパートのセントラルグループは、セントラルチットロム店のフードホールにおいて、UV-C殺菌ロボットを使って殺菌を行った。また、衛生管理を徹底するため、同グループは、他の店舗に対しても実施する予定。他にも、地方空港や人が多く出入りする場所において同じくUV-C殺菌ロボットを利用したいという要望が上がっている。
UV-Cは、人体に対して有害性が強いとされ、人が立ち入らないようにする必要があり、ロボットを利用する必要がある。タイ科学技術開発庁(NSTDA)とチュラロンコーン大学が協力して、遠隔操作ができるUV-C殺菌ロボットを開発した。スタートアップにおいても、ロボットエンジニアらが立ち上げたCOXSYS社がスマホから操作できる小型ロボットを開発し、UV-Cを載せて移動させ、いろんな病院で実証実験をしていた。また、シンガポールのPBAロボティックス(タイランド)もタイにUV-C殺菌ロボットを投入すると発表した。
タイとロボット分野の潜在的な可能性、実は、タイの学生が世界のロボコンでよく受賞実は、学生レベルにおいて、タイの学生がロボットコンテストのいろんな世界大会でよく受賞している。例えば、World Robot Olympiadにおいては、2010年から、毎年ずっと、一つか二つの分野で優勝し、2019年のハンガリー大会においても1つの分野で優勝した。 国内においては、受け皿となる産業はなく、人材が海外に流出していたことが問題視されていたが、これから、国内のロボット産業がより盛り上がって行くにつれて、人材が国内に留まり、産業づくりにつながるよう期待が寄せられている。
引用元
-
- https://www.thansettakij.com/content/396874
- https://www.posttoday.com/economy/news/240765
- https://www.matichon.co.th/lifestyle/health-beauty/news_1557900
- https://www.nhealth-asia.com/en/news/detail/215
- https://www.bangkokbiznews.com/news/detail/888783
- https://www.matichon.co.th/columnists/news_2246537
- https://siamrath.co.th/n/171203
- https://www.banmuang.co.th/news/education/197286
- https://www.bangkokbiznews.com/news/detail/866515
- http://investor-th.ais.co.th/news.html/id/773368/group/newsroom_press
- https://siamrath.co.th/n/143433
- https://www.nstda.or.th/th/news/13090-germ-saber-robot
- https://www.prachachat.net/ict/news-465092
- https://www.ryt9.com/s/prg/3133651
- https://mgronline.com/cyberbiz/detail/9630000064133
- https://www.bangkokbiznews.com/news/detail/880857
- https://positioningmag.com/1286538
- https://www.sanook.com/hitech/1498569/
- https://mgronline.com/cyberbiz/detail/9630000035809
- https://www.thansettakij.com/content/business/442378
- https://th.wikipedia.org/wiki/World_Robot_Olympiad
- https://www.pimthai.co.th/16358
- https://news.thaipbs.or.th/content/285999
-